ピープル

先輩社員インタビュー

稲葉祐太

アニメクリエイティヴDiv. 所属

プロデューサーが意思決定に至るまでの道を作る

  • 稲葉さんが現在担当されているお仕事について教えてください。
  • アニメクリエイティヴDiv.制作1部という部署におりまして、担当としては『進撃の巨人』の制作サブ、『フレームアームズ・ガール』の制作と宣伝、『怪獣娘~ウルトラ怪獣擬人化計画~』の宣伝、そして、秋からの新作『SSSS.GRIDMAN』の宣伝を担当しています。今は宣伝プロデューサーとしての比重が重めですが、制作の領域も含めて満遍なく色々なことをやらせて頂いています。
  • 1日のスケジュールを教えてください。
  • 9時半に出勤して、まずはメールや宣伝素材のお戻しをします。10時くらいから会議に出たり資料を作ります。11時からは他社との打ち合わせで社外に出て、スタジオや宣伝委員会での打ち合わせに行きます。14時頃に会社へ戻り、書類整理をして、各所にメールやサンプル等を送ります。その後はアフレコへ行き、スタジオでの収録に立ち合います。17時くらいからは、製作委員会や宣伝委員会で出版社やアニメスタジオへ行き1時間~2時間くらい打ち合わせをします。その後、20時くらいにアニメスタジオや委員会の人と飲みに行くか、会社に戻って資料やイベント台本を作ったり、関係連絡をして23時半~24時頃に退勤する…というのが業務量が多い時期のイメージですね。これらの業務の合間に自分の制作したい作品をピックアップしては企画書を書き、上司に講評をお願いしては「ここ、ビジネスとしての詰め甘くない?」と言われて直すということをしています。
  • 資料とは、どのようなものを作るのでしょうか?
  • 製作委員会や宣伝委員会では、委員会資料と言って、作品そのものや宣伝プランの準備がどの程度進んでいて、今後、何をしなければいけないのかという資料を作って共有する必要があります。例えば、宣伝プロデューサーが作成する宣伝委員会資料ですと、アニメの放送時期やパッケージの販売時期などからユーザの気持ちを盛り上げるためには何をすれば良いのか、どのタイミングで情報を出そうか、いつイベントをすると満足度が高いか…ということを考えて提案していきます。

私たちは、アニメを商材として見る必要がある

  • アニメクリエイティヴDiv.を目指している就活生は多いと思いますが、アニメクリエイティヴDiv.のおすすめしたい点を教えてください。
  • 志望されるという事は作品に対してであれビジネスモデルに対してであれ、アニメに対して興味をお持ちという事ですから数多くの作品をご覧になっている事と思います。今まで触れてきた作品はアニメ漫画映画音楽問わず全てが武器になるので、自分の好きな武器で戦う事に気持ちよさを感じる人にはおすすめ出来る仕事かと思います。作品の内容だけでなく、どんなプロモーションをしていたかや商品構成、特典や映像の編集方法、作品が発表されてから公開されるまでの大まかなスケジュールを何となくでも意識するようにしてみると後々助けられる事があるかもしれません。気にしてみて下さい。
  • どのような人がアニメクリエイティヴDiv.に向いていると思いますか?
  • アニメというコンテンツを使った“ビジネス”において勝算を見いだそうと足掻ける人でしょうか…。プロデューサーという立場はあくまでもアニメを“商材”として見る必要がある事を常に念頭に置かなければなりません。作品に対する思い入れや熱量は不可欠であり、大切な物ですが、有り余る思い入れや熱量によって空回りしてしまう部分は確実ににあるので、一歩引いて見る事を心がけなければいけないとも考えています。これは自戒でもあります…。

何事も取捨選択せずに全て掴む

  • ポニーキャニオンの社風について教えてください。
  • 社員の人当たりが良くてソフト&ウェットだと他社の方からは言われる事が多いかもしれません。誰かを押しのけて、足を引っ張って引きずり下ろしてでも上に行こう…というよりは、各々それぞれ好きな方向性でお金を稼ぐ仕組みを組み立てながら楽しくやっている印象です。また、部署を問わず思い付きのアイディアを茶飲み話で終わらせず「それでどうやってお金稼ぐ?」と言った形でより良いビジネスに変換するためのアドバイスを上司や先輩から頂けるのが個人的には好きな所です。根拠と勝算さえ示せれば若手の思いつきも面白がって応援してくれる社風だと思います。万事何事も楽しみたがる精神性…というか、エンタメ屋さんなので面白いか、面白くないか、がまず最初にありますね。
  • 入社後にギャップなどはありましたか?
  • 入社初年度にレンタルビデオの営業を担当した事で一見時代遅れに見えるようなビジネスモデルも企業体の地盤として重要な物なんだな、と認識を改めた事がありました。古いメディアや商慣習の中にある既存のビジネスモデルはデメリットを補って余りある程のメリットがあるため存在しているというのは忘れないようにしたいですね。例えば「配信があればレンタルビデオは存在しなくても良いのでは?」と思ったりもするのですがいざ地方に行ってみると、まだまだレンタル店さんが元気だったりするので“首都圏でコンパクトに生活する会社員のモデル”が全国のユーザのライフスタイルとイコールであると見誤らない様に気をつけたいですね。円盤には円盤の強みがありますし、配信には配信の強みがあるので双方補い合って遍くユーザの需要を網羅する事が大事かと。首都圏に限定しないユーザに対してアプローチ出来たコンテンツがこの先生き残ると思いますし、その辺りを見誤って都市部だけで消費されるコンテンツに偏ってしまうと会社としても先が無くなってしまうよな、と考えています。
  • ちなみに、稲葉さんが一番大変だったと思う時期はいつですか?
  • 今です。現在、担当作品が4本あって、それぞれが異なる進行度合い、異なる担当業務で動いています。大きな作品であればあるほど圧倒的質量を持った津波のような業務量が不意に襲い掛かってくるので、もはやそこに私の意思や私事が介在する余地はありません。可能な限り布石を用意していてもあっという間に溶けてしまうので体力と想像力を絞り出しながら頑張っています。
  • 稲葉さんがお仕事をする上で心掛けていることはありますか?
  • 何事も取捨選択せずに全て掴みにいくくらいのスタンスでいたいと思っています。イベントなどはユーザの集まり易い時期に集中するので担当作品が増えてくると往々にしてそれらの日程が重なっていきます。心身共にかなりしんどい事になりますが、一山越えればその実績をもとにより面白い仕事を振ってもらえたりするので、若手と呼んで頂けるうちは多少無理をしてでも食らいついていこうというスタンスでいます。毎回瀕死になりますが、数を重ねる中でそれらを省力化するノウハウが身に付きますし、本当に手が回らなければ助けてくれる上司も居ます。そして、そういった取り組みは更に上の役職の方も見ています。アニメの制作は個人の能力に依存したプロジェクトが多い事もあり、安易に「無理です」と表明する事で失うチャンスは多いと考えています。
  • 休日はどのように過ごしていますか?
  • 何か作っている事が多いです。学生時代、造形作家として活動していて、今でもたまにオーダーや展示会へのお誘いを頂くので、それに合わせて作品を制作し、出展しています。あとは積んでしまっている映画や漫画、小説を消化したり妻と出かけたりしています。
  • どのようなものを制作していたのですか?
  • メインでやっていたのは革細工関係です。舞台役者や漫画家さんなどからオーダーを頂き、本革の仮面を制作していました。他には、ガレージキットや自家鋳造のアクセサリー、衣装などを制作していました。

モノ作りに明け暮れた学生時代 そして、ポニーキャニオンへ

  • 学生時代は、どのようなことをしていましたか?
  • 高専で機械工学を勉強していました。そこで設計や加工関係、プログラムなどを学びつつ、モノを作ってはイベントに出展していたのですが、その中で専門知識を詰め込む為に捨て置いてきた基礎教養に楽しさを見出してしまい、民俗学や人類学専攻で編入できる大学に3年次編入しました。そこで2年間民俗学や神話、ナスカの地上絵などの人類学を中心に、映像や映画、美学・芸術学、博物館学を学びながら、造形作家として活動していました。ひたすらモノを作ってはイベントに出展し、お金を稼いで…みたいな生活の末今に至ります。
  • ポニーキャニオンを志望した理由について教えてください。
  • ポニーキャニオンに決めた理由はエントリーした理由と同じなのですが、Revo陛下がレーベルに所属していたからです。もともとSound Horizonのファン、いわゆるローランで、合同説明会のときに流れていたPVを見たことがきっかけでエントリーシートを出したと記憶しています。
  • 稲葉さんは現在『進撃の巨人』に携わられていますよね。
  • 縁って分からないですよね。入社したばかりの頃に陛下に拝謁を賜る機会がありました。その際に「大変だと思うけど仕事頑張ってね」とのお言葉を頂き、それを支えにどうにか3年働いています。栄光の移動王国に納税し続ける為にも一層労働に勤しみたいですね。

クリエイターが飯を食えるビジネススキームを作りたい

  • 現在の夢や目標について教えてください。
  • 元々造形作家の末席を汚す身であったという事もあり、クリエイターがきちんと飯を食えるビジネススキームを作ることが目標です。プロジェクトに関わった末端のクリエイターにもお金が降ってくるような強度のあるコンテンツとビジネススキームを作りたいです。
  • ポニーキャニオンを志望している就活生にアドバイスをお願いします。
  • 自分の好きなこと、得意なことを言葉でしっかりと表し続けてみて下さい。そうする事で、より一層自分の手札と求められる能力が噛み合った良い仕事にありつけると思います。人から「君は何が好きで何が出来るの?」と聞かれたときに自分の軸はどこにあるのか、一番切れ味の鋭い武器は何かということを言語化された形で伝えられる人に来てほしいと思いますし、私はそういったコミュニケーションを取れる人が好きです。
  • 稲葉さんは”地方の就活生頑張れ勢”とのことですが、地方の就活生にメッセージをお願いします。
  • 地方の学生には地方出身ならではの戦い方があると思いますし、能力が同等であれば都市部学生の比率が高いエンタメ系企業の選考フローの中では逆に輝けると思うので、上手いこと自分の武器を研いで求められている事への理解と伝えたい事の精度を高めて頑張って頂きたいと思っています。また、エンタメ系の就活では文系・メディア専攻が有利でそれ以外の学部は勝ち目が薄いと誤解しがちな理系学生の皆さんにもそんな事は決して無いので戦略を組み立てて頑張って欲しいと思っています。また、就活系セミナーでは再三申し上げている事ですが、志望企業の面接会場周辺のコインロッカーの場所・大きさ・数は事前にチェックする事が大事です!体力に余裕があるならスーツケースよりボストンバッグの方が選択肢が増える事も覚えておいて欲しい…!
    頑張ってください。応援しています。